境界のRINNE 第16話 ようこそ地獄へ! 九十九神

今週の境界のRINNE もとても面白かったですね。(^^)

今回は、九十九神 (つくもがみ) シール という面白い道具を六文ちゃんが使っていましたね。

境界のRINNE 第16話 ようこそ地獄へ!
九十九神

九十九神は、付喪神(つくもがみ)と書くのが一般的ですね。

でも、語源は九十九髪かもしれません。
九十九髪という言葉は、伊勢物語や源氏物語などに出てくるのですが・・・・伊勢物語の話をちょって見てみます。

伊勢物語 六十三 九十九髪 (つくもがみ)

 昔、素敵な男と恋がしたいと願う老婆がいました。彼女には三人の息子がいたのですが、まさかそんなことを直接言うことはできないので、夢を見たということにして作り話をしました。

 その話を聞いて、兄二人はそっけなく聞き流しましたが、末の弟は、「そういう夢ならば、きっとよい殿御が現れることでしょう」と夢解きをしてやりました。そして、風流の分かる在五中将に逢わせてやりたいものだと思いました。

 そこで、在五中将が狩をしているところに行き、馬の口をとり、「実はこういうことがあるのです」と事情を話すと、彼は心を動かされ、家にやって来て一夜を過ごしました。

 その後、在五中将が来ないものだから、老婆は彼の家へと行き、物の隙間からのぞき見をすると、中将はぼんやりと女がいるのを見て、

 百年(ももとせ)に一年(ひととせ)たらぬつくも髪われを恋ふらしおもかげに見ゆ
 (ずいぶんと年をとったお婆さんが、私を恋しく思っているらしい、その姿が幻となって見える)

と詠んで、彼女の家に出かけることにしました。

伊勢物語 九十九髪


老婆はイバラやカラタチにひっかかりながらも、あわてて家に帰って横になっていました。中将は先ほど老婆がしたように、こっそりと立って見ていると、老婆は嘆きながら寝ようとして、

 さむしろに衣かたしき今宵もや恋しき人にあはでのみ寝む
 (ムシロの上に衣の袖を片敷いて、今宵も恋しい人に逢えずに独りで寝るのでしょうか)

と詠んだのを聞いて、中将は気の毒に思って、その夜は泊まり共寝をした。

註: 「夢に恋する人が現れるのは、相手が自分のことを思っているからだ。」というような考え方については、らんま/考 九能帯刀の正夢を参考下さい。


それで、九十九(つくも) の意味なのですが、岩波の日本古典文学大系の伊勢物語の注釈には、

「つくもがみ」とは甚だしく年老いたさまの形容らしい。「つくも」は海藻の名で、女が年老いて髪が短くなってしまったのがこの海藻に似ているので「つくもがみ」と称するという。一説に、「つつもがみ」が正しく、「九」を「つつ」と言い、「つつも」という植物があり、「百年に一年たらぬつつ」と連ねたのだという。



とあります。また、小学館の日本古典文学全集の伊勢物語の注釈を見てみると、

「つくも髪」は、つくもという海藻に似ているところから、老女の白髪をいい、ここでは老女をさす。上に冠した「百年に一年たらぬ」とは、九十九歳の老齢を意味し、ひどく年をとったおばあさん、ということになる。また、九を「つつ」と読んだので、「つくも髪」と続けたともいう。



とあります。これが広辞苑では次のようになります。

老女の白髪をいう。伊勢物語の歌「百年(ももとせ)に一とせ足らぬ―我を恋ふらしおもかげに見ゆ」から、ツクモはツグモモ(次百)の約で、百に満たず九十九の意と見、それを「百」の字に一画足りない「白」の字とし、白髪にたとえたという。また、白髪が江浦草(つくも)に似るからともいう。



更に、冨山房の大日本国語辞典には、

江浦草髪 九十九髪 江浦草(ツクモ)に似たるよりいふと。一説、つくもは、つつもの誤り、つつは物の満ち足らぬことにて、百に満たざる九十九の義。其れを百の字の一画足らぬ白の字とし、白髪に譬へていふと。老女の白髪。伊勢・・・・・・・



岩波や小学館の伊勢物語の注釈では、「つくも」は海藻となっていますが、広辞苑などでは、「江浦草」という植物とされています。

また、広辞苑の、「ツクモはツグモモ(次百)の約で、」 というのは、大日本国語辞典の、「つつは物の満ち足らぬことにて、」 を補足しているようですね。

この他の古語辞典などからすると、「江浦草」「九十九」(つくも)は、「芫」「太藺」(ふとい) などとも呼ばれる水草で、海藻ではないようです。また、この植物の花という説もあります。

参照: http://www.hana300.com/futoi0.html



2009.08.14 追加

岩波や小学館の伊勢物語の注釈にはないのですが、広辞苑などの辞書にある、

九十九は、百に一つ足りないことから、百の字の一画足りない白の字として、白髪にたとえた。

というような解釈なのですが、このような解釈を考え出したのは誰か? というと、歴史学の異端、木村鷹太郎ではないかと思います。

彼は、在五中将業平秘史という本の中で、次のように書いています。

九十九髪の語源---「つくも」とは、数字としての九十九を意味するかどうかは、私は確かめていないが、意味としては白色、あるいは白髪という意味である。
であるから、「百年に一年(ひととせ)足らぬ」とは---漢字の「百」よりその冠である「一」を取り去ると、「白(はく)」という漢字になる・・・・
(分かりやすいようにリライトしています)



広辞苑などでは、(百)-(一)=(白) から、白色・白髪というような答えを導き出していますが、木村鷹太郎は、「つくも」という言葉には、もともと白色・白髪という意味があると言っています。

現在、九十九歳のお祝いを、白寿 と言いますが、これも、(百)-(一)=(白) というところから白寿となったようですが、おそらくこれも、この木村鷹太郎の解釈から派生したのではないかと思います。もし、白寿という言葉が木村鷹太郎以前にあったならば、彼がそのことに言及しないはずがありませんし、また、明治28年発行の「進物案内」という本の年齢の祝いの項目には、

「初老の賀」「半白の賀」「六十の賀」「還暦の賀」「七十の賀」「喜寿の賀」「八十の賀」「米賀」「百歳の賀」

とあるのですが、「白寿」は載っていませんでした。更に、大正四年初版の大日本国語辞典にも、「白寿」という言葉は載っていませんでした。

白寿という言葉がいつ頃生まれたのかは、調べがつかなかったのですが、案外昭和に入ってから導入されたものなのかもしれません。



実は、木村鷹太郎の九十九髪の解釈には、更に続きがあるのですが・・・それもちょっと見てみたいと思います。

此に於て其語源を考ふるに、是れ希臘語「スクルモ」(Skylmos = Skylla)にして、之を語幹として、白髪の海の女神たるスクラ(Skylla)の名称生す。「スクルモ」の「ス」を「ツ」に転じ「ル」を無声ならしむる時は、直にこれ「ツクモ」(九十九)たるなり、俗謡『お前百まで私や九十九まで、偕(とも)に白髪のはえるまで』は最も能く此意義(いみ)を表はせり。
 元来此「スクルモ」なる希臘語は、「掻く、かき裂く、寸裂す、破綻す、困難、惑歎、懊悩」等を意味し、之を海上の厄難に比し、其之を起す所の白浪怒涛を白髪の老女性として、スクラと称せしもの、これ九十九髪なる者なり、・・・・・



つまりですね。九十九髪は、ギリシア神話に出てくる、スクラ (スキュラ・スキュレー)という怪物だったということです。(^^)

ちなみにスクラは、十二本の足と六つの頭を持ち、トロイアから帰還するオデュッセウスの一行の六人を、そのそれぞれの口でひっさらい、むさぼり食った怪物です。変身物語によると、スクラは昔は美しい娘だったのが、キルケーという魔女によって、その姿を変えられてしまったそうです。

以上、付喪神(つくもがみ)が、スクラへと変化したというお話でした。(^^)

テーマ : 境界のRINNE
ジャンル : アニメ・コミック

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No title

私は九十九ってのを見て、ドラマ「MR.BRAIN」を思い出しました
内容は知らないんですけど、主人公の名前が「九十九」ってのしか・・・
全っ然関係ないと思うんですけどね・・・w

Re: No title

MR BRAIN というドラマについて、初めて知りましたが・・・・(^^)
キム拓が主人公のドラマなんですね。

ちょっと検索したのですが、名前の由来について書かれているところは、
見つかりませんでした。(^^)
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