境界のRINNE 輪廻の輪 Part3 [五趣生死輪]

チベット仏教では、六道輪廻図というのがよく見られます。

六道輪廻図(ラサのセラ寺) wikipedia
六道輪廻図

この図が、「輪廻の輪」の思想的なモデルになったのかもしれません。

ところで、六道から、阿修羅道を取り除いた、
天、人間、畜生、餓鬼、地獄 
の五つの世界を、五悪趣 (五趣)と言います。
チベットでも、六道輪廻図と並んで、この五つの世界を示した、五趣生死輪図 (ごしゅしょうじりんず)
というのもよく見られるのですが、こちらは日本にも存在します。

五趣生死輪図 (ごしゅしょうじりんず)
五趣生死輪

この図は、「根本説一切有部毘奈耶 第三十四」という経典を基に描かれているそうです。
その内容は次のようなものです。

お釈迦様が、インドの王舎城という都市の竹林精舎(ちくりんしょうじゃ) というところに居たときのこと、弟子の目連(もくれん)は、神通力で常に地獄、畜生、餓鬼などの五道を行き来して、それぞれの苦しみを見て、人々にそのありさまを教えていました。

するとお釈迦様は、弟子の阿難(あなん)に、こう言いました。いつも目連がいるわけではない。それに目連のような能力者はごくまれな者である。だから、僧侶たちに言って、寺の門の下に、生死輪(しょうじりん) という絵を描かせることにしよう。

こうして描かせたのが、上の絵なのですが・・・簡単に説明すると、真ん中にいるのが、仏様で、その前にいるのが、ハトとヘビとブタです。ハトは貪欲を示し、ヘビは怒りを示し、ブタは愚鈍を示します。

この外側の五つに仕切られた円の、一番下が、地獄を示し、その左が畜生道、右が餓鬼道を示しています。

さらに、左上が人間道、右上が天道を示しています。

人間道には、東州(寿命200歳の国)、南州(寿命の定まってない国)、西州(寿命500歳の国)が描かれています。

この円の外側に、井戸の釣瓶が描かれています。生の釣瓶は上に向かい頭を出しており、死の釣瓶は足を出しています。そしてこの釣瓶は、生と死を絶えず行ったり来たりしています。

そしてその外側は、十二因縁、十八種の図相が示されています。
この説明は、ここでは省略します。

そして、この大きな輪を抱えている鬼は、無常を表しています。
この鬼は、死後の世界を示しているのではなく、たった今現在、この無常の大鬼は我々を両手で捕まえており、刻一刻と締め付けていることを示しているのです。

この世に生まれた者は、たとえ帝王であれ、豪傑であれ、どんな金持ちでも無常には適わないのです。そして、この無常からは誰も逃れられないのです。魂を奪う鬼は貴賎の区別はしないし、お金をいくら積んでも買収できないのです。

この鬼は、無常の大鬼とも、死王とも呼ばれ、俗に言うところの死神であり、これにとりつかれない者など、この世には誰もいないのです。


初出 2009.05.12




先に、十二因縁、十八種の図相については省略したのですが、ネットを検索したところ、意外なことにこれらについて解説しているサイトが見当たらないので、追記します。

無明-五趣生死輪
第一支 「無明支 (むみょうし)」 円の真下、無常大鬼の足下に描かれている。これは鬼が描かれる。無明は煩悩の基であり、人々を悪道に入れようとする恐ろしい者だからである。

行-五趣生死輪
第二支 「行支 (ぎょうし)」 無明支の左上。瓦や陶器などを作る車が描かれる。巡り巡って業 (ごう) を作るからである。

識-五趣生死輪
第三支 「識支 (しきし)」 猿が描かれる。心は猿のように騒ぎ立てるからである。

名色-五趣生死輪
第四支 「名色支 (みょうしきし)」 人が船に乗っているのが描かれる。色受想行 (しきじゅそうぎょう)の船に識 (しき) が乗り、この世へこいで来るからである。

註:色受想行識 五蘊 (ごうん)のこと。

六処-五趣生死輪
第五支 「六処支 (ろくしょし)」 六根具足が描かれる。人は、眼耳鼻舌身意 (げん・に・び・ぜつ・しん・い)を具足して生まれるからである。

触-五趣生死輪
第六支 「蝕支 (そくし)」 男女が互いに触れ合っている姿が描かれる。

受-五趣生死輪
第七支 「受支 (じゅし)」 男女が苦しみと楽しみを受ける姿が描かれる。

愛-五趣生死輪
第八支 「愛支 (あいし)」 女性が男の子と女の子を抱く姿が描かれる。これは人が一生のうちに知ることだからである。

取-五趣生死輪
第九支 「取支 (しゅし)」 一人の男が瓶を持って水を汲み取る姿が描かれる。これは後に生まれる業 (ごう) を汲み取るということである。

有-五趣生死輪
第十支 「有支 (うし)」 梵天王が描かれる。本来、仏法では、梵天王も無常をのがれることはできないが、外道 (仏教を信じていない者) は、自分のことを梵天王のように常住であって死なないと錯覚しているからである。

生-五趣生死輪
第十一支 「生支 (しょうし)」 妊娠した女性が描かれる。後の世に生まれることが必定だからである。

老-五趣生死輪
第十二支 「老支 (ろうし)」 お爺さんとお婆さんが描かれる。

病-五趣生死輪
第十三支 「病支 (びょうし)」 病人の男女が描かれる。

死-五趣生死輪
第十四支 「死支 (しし)」 死人を輿に乗せているところが描かれる。

註:十三支、十四支は、十二支に含まれるものを細分化したものと思われる。ここまでが、十二因縁 (じゅうにいんねん)

憂-五趣生死輪
第十五支 「憂支 (うし)」 男女の憂える姿が描かれる。

悲-五趣生死輪
第十六支 「悲支 (ひし)」 男女の泣く姿が描かれる。

苦-五趣生死輪
第十七支 「苦支 (くし)」 男女の苦しみを受ける姿が描かれる。

悩-五趣生死輪
第十八支 「悩支 (のうし) 一人の男が、暴れるラクダをひく姿が描かれる。暴れるラクダをひくことは、大いになやむ事だからである。

以上、十二因縁、十八種の図相である。

天上も人間も三悪道も生まれて死ぬまで、みなこのように推移するのである。

この死生輪を、無常の大鬼が、髪を乱して、口を開いて、ひじを張って、抱いている。我々一切衆生は、この無常の鬼からのがれることはできないのだ。

上方の左右に、尊いお経の偈文が書かれている。

汝当求出離於仏教勤修
降伏生死軍如象摧草舎

於此法律中常修不放逸
能竭煩悩海当尽苦辺際

読み下し

汝、当(まさ)に出離(しゅつり)を求むべし。仏教に於いて、勤修(ごんしゅ)せよ。
伏する生死(しょうじ)の軍を、降象(ごうぞう)の草舎(そうしゃ)を摧(くだく)が如し。*

此の法律の中に於いて、常に不放逸(ふほういつ)を修し。
能(よ)く、煩悩海(かい)を竭(つく)し。苦の辺際(へんさい)を尽くす当(べ)し。

註* 
降伏生死軍如象摧草舎
生死(しょうじ)の軍を降伏すること象の草舎を摧(くだく)が如し。

という読み下しもあります。まあ、こちらの方が一般的なように思えますが、でも、「伏する生死の軍を、降象の草舎を摧が如し。」の方が、凄そうだと思います。(^^)


上方の白い丸い円は、涅槃円浄(ねはんえんじょう) と書かれている。

これは、阿羅漢果(あらかんか) あるいは、無上の仏果のことで、仏の教えに従えば、必ず仏の悟りを得られるので、このおそろしい五道に迷うことはない。ということである。

以上が、五趣生死輪図 (ごしゅしょうじりんず) の概説です。

追記 2009.06.07

テーマ : 境界のRINNE
ジャンル : アニメ・コミック

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