境界のRINNE 第87話 朧の復讐(おぼろのふくしゅう) [ヘビ嫌い]

りんね君は、火バサミで、オボロゲなヘビの霊を挟んでいましたが・・・

火桶の火も白き灰がちになりてわろし。

という感じに見えました。(^^)

このヘビの霊について、次のRINNEのフォーラムでは、
Kyokai no Rinne Manga Discussion
犬夜叉に出てきた、「死魂虫」 を思い出した。というような意見がありました。言われてみるとその通りですね。(^^)

それにしても、鳳(アゲハ)は、そうとうにヘビが嫌いなようですね。

世の中には、「人がヘビを嫌うのは、先天的なものなのか? 後天的なものなのか?」 という議論があるようです。今回はこのことについて、見てみたいと思います。

まず、安部公房のエッセイに次のようなものがあります。

砂漠の思想 ヘビについて 安部公房 講談社

ところで、この蛇に対する生理的嫌悪感の正体は、いったい何なのか。蛇嫌いが、わりに一般的なものであるにもかかわらず、その正体の究明は、意外になおざりにされたままである。まさか、蛇の魔性を信じるわけにもいかず、そうかと言って、気味が悪いから、気味が悪い、では匙を投げたも同然だ。ただ、一つだけ、世に流布している説明のうちで、一見いかにも合理的な外形をそなえているのは、人類の太古の記憶だという例の学説である。人類の祖先がかつて、樹上生活をしていた時代、蛇は人類にとっての、もっとも恐るべき敵であった。その時代の記憶が、遺伝して、意識の底に眠っているのだという、一応進化論的な裏付けさえ与えられている。


しかし、安部公房はこの学説を、「記憶の遺伝などあるはずがない」と否定しています。そして次のように結論づけています。

僕は、動物図鑑の、蛇の写真をながめながら、つくづくと首をひねって考えたものである。手足がなくて、ただ長いもの・・・角が生えているとか、牙をむき出しているとか、尋常ならざる誇張によって、相手をおびやかしているののとは反対に・・・むしろ、これは、当然あるべきものの欠如からくる、違和感であるらしい。

 そこで、なるほど、と思い当たったものである。欠如が与える不安と言えば、これはどうやら、幽霊が与える恐怖と同質のものであるらしい。幽霊の特徴をひと口に言えば、生との断絶、すなわち、日常性の欠如ということである。幽霊は、誰かの前に出現することによって、はじめて存在を許されるのだ。まだ出て来ていない幽霊などというものは、幽霊でさえありえない。どんな怪談をみても、出現する以前の、幽霊の日常生活についてふれたりした例はないのである。あったとしても、それはせいぜい、喜劇か、漫画の中でだけのことであろう。



次に安部公房は、ヘビ恐怖症の治療法を示しています。(^^)

ヘビ恐怖症の療法はまずヘビに馴れさせることであろう。ヘビに馴れさせるためには、むりやりヘビと一緒に檻の中にとじこめるのがよろしい。


この治療法を鳳に施したら・・・・乱馬が「猫拳」を習得したように、鳳も「ヘビ拳」の使い手になるかも・・・(^^)

現在最も一般的に言われている蛇嫌悪説は、吉野裕子氏のカール・セーガンからの引用です。

蛇 (日本の蛇信仰) 吉野裕子 講談社学術文庫

カール・セーガン著『エデンの恐竜---知能の源流をたずねて---』これによれば、
「人類は生物進化の最終段階にいるが、そうした人間の脳の中には、当然、その進化途上の各段階の生物であった時の部分もくみ込まれている。つまりR(爬虫類)複合体とよばれる脳の一番奥の部分は恐竜の脳の働きをしている。それをとりまく大脳縁辺系は、哺乳類の先祖との共有であり、更に外側の新皮質は霊長類としての人間の理性を掌る。人間が人間たり得ているのは、脳の八十五パーセントを占めるこの新皮質のおかげであるが、しかもなお脳はこの三位一体で構成され、根本的には三者の力のバランスの上に成り立っている。」(傍線筆者)

という。つまり、人間の脳の中には明らかに恐竜という古代生物が生きているのである。まことにショッキングなことではあるが、動かし得ない事実であって、著者は、「竜(爬虫類)をこわがるとき、われわれは自分の一部をこわがっているのだろうか。」と問いかけている。

 蛇その他の爬虫類に対して人類が懐きつづけてきた崇拝と嫌悪、あるいは畏怖は、私どもの脳の最奥部に潜む恐竜に由来するのだろうか。それは人類の遠祖であると同時に、もっとも恐ろしい敵でもあったのである。
 蛇をはじめとする一群の爬虫類に接するとき、このように畏れと嫌悪ともつかないある種の反応を覚えずにはおられない。このような反応は、上述の理由によって、一種の先天的反応と考えられ、億単位の進化の時間の彼方に厳然として控えている事実に由来する。



エデンの恐竜 カール・セーガン著 秀潤社
人脳中の爬虫類 (R) 複合体と大脳辺縁系と新皮質とを、きわめて図式的に表したもの。マクリーンによる。
エデンの恐竜 カール・セーガン著 長野敬訳 秀潤社

この説は色々な分野に影響を与えているようです。
例えば、京極夏彦 の「姑獲鳥の夏 (うぶめのなつ)」には次のような会話があります。

「潜在意識というのは君の仮説ではどういう解釈になるんだい?」
 京極堂は私が反撃の凡てをいい切る前に考える間もなく答えた。
「脳味噌というのは層になっている。皮が幾重にもなっている饅頭のようなものだ。これは下へ行くほど発生が古い。餡子(あんこ)のところは一番古い。動物の脳だね。これは主に本能というヤツを司る。


おそらくこの部分は先の、(R)複合体を喩えているのだと思います。(^^)

しかし、吉野裕子氏の解釈には、ちょっと無理があるように思えます。と言いますか、引用の仕方がちょっと強引すぎるように思います。(^^)

エデンの恐竜の原本では、R複合体などの脳のメカニズムについては、「第三章 脳と馬車」で述べられているのですが・・・・

著者は、「竜(爬虫類)をこわがるとき、われわれは自分の一部をこわがっているのだろうか。」と問いかけている。

という問いかけは、「第六章 ほの暗きエデンの物語」で語られていることなのです。

竜が数百万年前の人類の祖先である原人を悩ませ、竜への恐怖と竜のもたらす死が、人間の知能の進化を推進するのにひと役買ったということが、ありうるのではないだろうか。それともヘビのたとえ話は、新皮質のこれからの先の進化に、脳の攻撃的で儀式的な爬虫類成分が使われることをいっているのであろうか。あと一つの例外を除くと、創世記にあるエデンの園でのヘビの誘惑という話は、聖書において人間が動物のことばを理解した唯一の例である。竜をこわがるときわれわれは、自分の一部をこわがっていたのであろうか。いずれにしてもエデンには竜がいたのである。(傍線服部)



このように、「竜をこわがるときわれわれは、自分の一部をこわがっていたのであろうか」というのは、かなり文学的な色彩の強い問いかけであるようです。吉野氏はそれを、R複合体の説明にかぶせてしまっているのです。

これらを受けてか?・・ある論文では次のようになっています。

人間の脳の中には、当然、その進化途上の各段階の生物であった時の部分もくみ込まれている。つまりR(爬虫類)複合体とよばれる脳の一番奥の部分は恐竜の脳の働きをしている。」
 とすれば、我々は脳の一部に潜む爬虫類、つまり自分自身の一部を恐れているということになるのだ。


この論文は、吉野裕子氏の論文の孫引きなのだと思いますが。
「・・・つまり自分自身の一部を恐れているということになるのだ。」
と、「問いかけ」から 「断定」へと進化? してしまっています。(^^)

また、次のような論文もあります。

なぜ蛇は、かくも人間の畏敬の的となったり、人に畏怖される存在となったのであろうか。
 これに対し、R複合体の故であるとする生物学的な説明がある。R複合体は、人間の攻撃行動や、縄張り争いや、儀式行動や、社会的順位の獲得に、大きな役割を果たしていると言われている。そして、この故に人は先天的に蛇を畏れ敬うのだというわけである。しかし、これははじめに提起した問題をR複合体に押し込めただけで、なぜそもそも蛇を畏れ敬うような先天的なプログラムが存在するかということを含めて、何ら本質的な解答を与えないのである。


この論文では、R複合体故に人は蛇を畏怖する。というように、因果関係が直截的になっています。

しかし、R複合体のために、爬虫類を嫌悪したり畏怖したりするということがあるとは思えません。もしそうだとしたら、爬虫類以上の動物はすべてR複合体を持っているわけですから、ヘビを常食としている、ワシやイタチなどもヘビを畏怖していることになってしまいます。(^^)

結局、蛇を恐れるのは、太古の記憶というように・・・最初に戻ってしまい、そして「記憶の遺伝などありえない」とう安部公房の否定に立ち還ってしまうのですが・・・

でも、京極堂が面白い説をとなえています。

本能とは生まれつき備わっていると考えがちだが、これも胎児の頃に親から掠め盗った情報、つまり学習した記憶だと考えた方が筋が通る。胎児にだって脳はあるからね。夢も見る。最低限生きて行くのに必要な知識は何らかの形で親の脳から戴くのさ。



長々と書いてきましたが、3月6日は、啓蟄(けいちつ)ということで・・・・冬ごもりの虫が這い出す日です。ヘビもそろそろ冬眠からさめる季節ですね。(^^)


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