境界のRINNE [黄泉の羽織・リバーシブルVS鳴神・ぶっ返り]

豊国揮亳奇術競  鳴神上人
鳴神上人
(鳴神上人が、雲の絶間姫を追いかけて行くところ)

この歌舞伎の内容は次のようなものです。

 鳴神上人は、帝に皇子が授かる祈祷を頼まれる。祈祷はうまく行き大願は成就する。しかし帝は、その見返りとして鳴神上人に戒壇建立 (かいだんこんりゅう) を約束したのに、その約束を果たさなかった。

 これに怒った鳴神上人は、三千世界の竜神を封じ込んで、雨を一滴も降らせなくしてしまう。困った帝は、雲の絶間姫 という朝廷一の美女を鳴神上人のもとに送り込み、色仕掛けで、鳴神上人を篭絡し、竜神を解放してしまう。



この歌舞伎のもととなっているのは、次の一角仙人の話です。

今昔物語 5.4 一角仙人、女人を負ひ、山より王城に来たる語

 天竺に、額に角が一つ生えた、一角仙人という仙人がいた。深山で長年修行をし、雲に乗って空を飛び、高山を動かして動物たちを従者とした。あるとき、大雨が降って道が泥になり、仙人は道を歩いていて、思わず足をすべらせ、転倒してしまった。年老いてぶざまな転倒をしたことにひどく腹を立て、「雨が降るから、道が悪くなり転倒するのだ。こんな雨を降らすのは竜王のしわざだ」といって、たちどころに多くの竜王を捕えて一つの水瓶に押し込んでしまった。

 こうして、雨の降らぬことが十二年に及んだ。世の中がひでりになって、五天竺の者はみな嘆きあった。十六大国の王たちはさまざまの祈祷を行い、雨の降ることを願ったが、少しも効果がなかった。すると、ある占い師が、「ここから東北の方に深山がありますが、その山に一人の仙人がいて、竜王を閉じ込めてしまったので雨が降らないのです」と言った。

 人々が困っていると、ひとりの大臣が、「どんなに尊い仙人でも、女の色香を賞でず、その声にひかれない者はあるまい。昔、欝頭藍(うずらん)という名の仙人がいたが、女の色香に迷ってたちまち神通力もなにも失ってしまった。ためしに十六大国の中でとくに美しい声のきれない女を集めて山中に遣わし、仙人の住処と思われるようなところを、声おもしろく楽しげに歌って歩いたなら、いかな聖人であろうともその声を聞いて心がとろけてしまわれるでしょう」と進言した。

 こうして、美しく声のきれいな女を五百人選び出し、素晴らしい衣裳を着せて、栴檀香(せんだんこう)や沈水香(じんすいこう)を体じゅうに振りかけ、目の覚めるように飾った五百輌の車に乗せて山中に送り出した。

 女たちは山に入って車から降り、やがて、十人、二十人ずつに分かれて、歩き廻り、山々に歌声が満ち溢れこだまして、天人も空から舞い降り、竜神も集まって来るほどである。このようにしているとき、骨と皮ばかりの一角仙人が、顔だけ笑みで相好をくずしながら、影のようによろめき出て来た。

 そして女たちに向い、「わしはこの山に住んで千年になるが、いまだかつてこのような歌を聞いたことはない。天人が下って来られたのか、はたまた悪魔が近寄って来たのか」という。女たちは、「わたしたちは、五百人のけから女といって、天竺で集団を組んでこのように歌って歩く者です。この山には風情があり、尊い聖人がおいでになると聞いたので、歌を歌ってお聞かせしよう、それによって聖人との結縁にもしていただこうと、こう思ってわざわざやって参ったのです」といって歌を歌う。聖人は、いいようのない素晴らしい歌を歌っている女たちを見て、胸は高鳴り魂は宙に飛んだ。

 聖人はひとりの女に向って、「ほんのちょっとそのからだに触れさせてくださらんか」とぎこちなく言う。女は角が生えた姿をうとましく思ったが、国王が、たらしこんで来いとわざわざ遣わしたことなので、こわごわ聖人の言葉に従った。

 その途端、すべての竜王が大喜びし、水瓶を蹴破って空に昇って行き、大雨を降らせた。女はこわごわそこに数日とどまっているうち、聖人はこの女にすっかり心奪われてしまった。五日目になって雨がすこしやみ、空も晴れてきたので、女は聖人に、「このままここに居るわけにもいきませんので、帰ろうと思います」というと、聖人はなんともつらそうである。

 女は、「このような岩山を歩いて足がすっかり腫れてしまいました。その上、帰ろうにも道もわかりません」。「ならば山の間は道案内を進ぜよう」。聖人はこういって前に立って行く様子は、老いさばらえており、滑稽でもあり、恐ろしくもある。

 やがて一つの谷を渡ることになった。女は聖人に、「ここはとうてい渡れそうにありません。お聖人はいつも通いなれて平気でしょう。どうかわたしを背負って渡ってください」という。聖人はこの女に深く心奪われてしまっているので、その言葉に背くこともならず、「いやもっともじゃ。わしに負ぶわれなされ」といった。こうしてそこは無事に渡り終えたが、女は、「もう少し。もう少し」と言って、とうとう都城まで負われながら入っていった。

 これを見た者すべてが、あの山に住む一角仙人という聖人が、女を背負って都城にやって来たぞ、と大騒ぎをし、それを、貴賎を問わず見物に行き、笑いあざけった。こうして、国王の宮殿に入って行くと、国王は、なんとたわけたことと思いながら、この聖人は尊い方だと聞いて、敬いかしこまって、「すぐおもどりなさいまし」と言ったので立ち帰ろうとしたが、かつては自由自在に空を飛びまわっていたのに、このたびはよたよたと、いまにも倒れそうな様子で帰っていった。こんなたわけた聖人がいた、とこう語り伝えているということだ。



以前、「雑話」というblogで、坂口安吾の「桜の森の満開の下」 を取り上げたのですが、この説話が使われています。

参照 雑話 桜の下の死体

ところで、歌舞伎の鳴神上人の衣装なのですが、鳴神上人は、もともとは白い着物を着ています。しかし、雲の絶間姫に騙されたことを知り、激怒した時に、真っ白の衣装から火炎の衣装へとパッと早変わりします。

これは、「ぶっ返り」という早変わりの手法だそうで、衣裳の上半身の部分を糸で留めておき、この糸を抜くと、衣裳がハラリと落ち、腰から下に垂れる仕掛けになっているそうです。

六道りんね君の、「黄泉の羽織」もリバーシブル仕様でしたね。(^^)
表側は着る者を幽体化し、裏返すと、実体化させるのでした。

そして表側が炎で、裏側が真っ白でしたね。鳴神上人とは正反対のようです。

参照サイト
カブキッズ 鳴神 
(ぶっ返りについてのとても分かりやすいイラストがあります)

テーマ : 境界のRINNE
ジャンル : アニメ・コミック

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